なんで昔の人は雛人形を大事にしていたの?

A 昔の日本。たとえば江戸時代~昭和中期にかけては、生まれた子供が成人を迎えられることが当たり前ではありませんでした。

日本が人口動態統計(出生率や死亡率など)を調べ始めたのは1899年(明治32年)のこと。
初年度の乳児死亡率は約15.4%と、10人に1人の赤ちゃんは1歳を迎えずに亡くなっていたのです。

人口動態総覧(率)の年次推移(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/toukei02.html

かつての日本では、乳幼児の死亡率が高かったことと医学が未発達であったことから身代わりを信仰する文化が育ったのですが、最初から「雛人形」という文化として存在していたわけではありません。

元となったのは平安時代の書物である『枕草子』、『源氏物語』などに登場する「雛遊び(ひいなあそび)」。
紙の人形=雛(ひいな)を使ったおままごとでした。

紙があることが当たり前になってしまった現代人からすると「紙か~なんだかさもしいな~」と思われるかもしれませんよね。
しかし当時としては紙は高級品。
おままごとはおままごとでも、貴族だからできる遊びだったのです。

「おままごと」から「風習」へ

この優雅な人形遊びが室町時代において人形(座り雛)を祀り節句を祝う「雛人形」文化へと進化。
現代の雛人形の風習に近いものへと形を変えました。

平安の頃は小規模だった争いが応仁の乱の頃(室町時代以降)から全国的に拡大した、という時代背景から「そういった戦乱への恐怖が人形を祀る文化につながったのではないか」とも言われていますが「何年何月に雛人形の文化が成立した」という事実はなく、いずれも諸説があり、現代に至るまでその伝統は変化と成長を続けています。

トレンドを取り入れた雛人形の誕生

ホラー番組などの影響で怖いイメージが定着しつつある日本人形ですが、最近の日本人形には流行の美がきちんと取り入れられており、ブラウンの細眉に顎のシュッとした小顔という風に、一年ごとにトレンドに合わせて顔も変わっています(お気づきでしたか??)。

さらに、マンションに住む方が多くなっていることから、収納しやすい平飾り(一段飾りで段の中に人形をそのまま収納できる)の展開・需要も増えてきているのです。

「核家族化と共働きで、現代人に五節句を祝う暇なんてない!」
と考える人が増えている昨今だからこそ、
「子供が健康であるという素晴らしさ」「当たり前ではない健康な日々」に想いを馳せる機会。
いわゆる感謝祭のようなものが一年に一度は必要なのかもしれません。

家族と過ごす時間の減少と、家族の在り方の変化

近年は両親共働きの世帯が当たり前となりました。

核家族化が進み、祖父祖母に会うのは夏休みや冬休みの長期休暇だけ、という子も増えています。

雛祭りに限らず、年に一度は家族と向き合う「感謝祭」のようなイベントを設けたいですね。
現代では、雛祭りは「お子様の成長を祈り祝う感謝祭」として定着しています。
感謝祭はもちろんお子様本人も参加すべきイベントです。
雛人形を飾る際はぜひともお子様といっしょに飾ってください。

お子様の成長を願うだけでなく、成人を迎えられることを当たり前にしてくれた昔の人々に、家族で想いを馳せてみるのもオススメです。

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